猫の病気別のフードの選び方|猫に最適なフード選びのポイントを獣医師が解説

猫の病気別のフードの選び方|猫に最適なフード選びのポイントを獣医師が解説

ドライフードを食べるキジトラ猫

「うちの猫にはどのフードが最適なのかわからない」
「猫が病気になってからフード選びに悩んでいる」
このような悩みをお持ちの猫の飼い主様も多いのではないでしょうか。
猫のフード選びは猫の年齢や健康状態によって大きく変わってきます。
特に病気を抱える猫の場合は適切なフード選びが治療効果を高め、生活の質を向上させる重要な要素です。
この記事では猫のフード選びのポイントと注意点について解説します。
猫の飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、フード選びの参考にしてみてください。

猫のフード選びで抑えるべきポイント

同じお皿からフードを食べる二匹の猫

猫のフード選びでもっとも重要なのは猫が肉食動物であるという特性を理解することです。
犬とは異なり、猫は植物性の栄養素を効率的に利用することができません。
そのため、動物性タンパク質を主体とした栄養バランスが不可欠です。
特にタウリンやアラキドン酸などのアミノ酸は猫が自ら体内で十分に合成できません。

また、エネルギー源としては脂質を多く利用し、炭水化物の消化吸収能力は低いのが特徴です。
猫のフードを選ぶ際には

  • 高タンパク
  • 低炭水化物
  • 適度な脂質

のバランスを意識しましょう。
加えて、水分摂取も健康維持には不可欠ですが、猫はあまり水を飲まない傾向があり、ウェットフードの活用や新鮮な水の確保も大切です。
年齢や健康状態に応じて必要なエネルギー量や栄養バランスも変わるため、ライフステージや疾患の有無を考慮したフード選択が必要となります。

猫の病気別のフードの選び方

猫は体調の変化を表に出しにくいため、知らず知らずのうちに病気が進行してしまうことも少なくありません。
病気を持つ猫では治療の一環として、適切なフード選びが非常に大切です。
病気ごとに栄養バランスや成分の工夫が必要になるため、フードの知識をつけておきましょう。
ここでは猫の代表的な病気のフード選びのポイントを解説します。

腎臓病

腎臓病は高齢猫に多くみられる慢性的な疾患です。
腎臓病の猫では腎臓への負担を軽減するために、タンパク質とリンの摂取制限をする必要があります。
一方で、タンパク質を極端に減らすと筋肉量が低下するため、良質なタンパク質を摂取することが重要です。
また、ナトリウムも腎臓に負担をかけるため、低ナトリウムのフードを選ぶことも大切です。

糖尿病

猫の糖尿病では血糖値コントロールがフード選びの最重要ポイントです。
糖尿病の猫は低炭水化物、高タンパク質のフードを選ぶことで血糖値の上層を抑えることができます。
食物繊維も糖の吸収を緩やかにするため、積極的に摂取させましょう。

尿石症

ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石などの尿石症は、尿のpHバランスが崩れることで発生しやすくなります。
尿石症では結石の種類に応じて、pHバランスを調整するフードを選びましょう。
また、過剰なミネラル摂取は結石の原因になりやすいため、マグネシウムやカルシウムなどを調整することも大切です。

食物アレルギー

嘔吐・下痢や皮膚のかゆみなどの食物アレルギーの猫は特定のタンパク質にアレルギー反応を起こします。
アレルギーを抑えるにはアレルギーの原因となる食材を使っていないフードを選びましょう。
また、タンパク質分子を細かく分解し、アレルギー反応を起こしにくくした加水分解フードも効果的です。
アレルギーのフード選びは難しいため、獣医師とよく相談しましょう。

肥満

猫の肥満も関節疾患や糖尿病などの病気のリスクを高めます。
肥満の猫は筋肉量を落とさず、体重を減らせるように低カロリーで高タンパク質のフードを選びましょう。
さらに、お腹の中で膨らむ水溶性食物繊維が配合されていると満腹感が長持ちします。

病気が複数ある場合のフードの選び方と注意点

猫が高齢になると複数の病気を同時に抱えるケースも少なくありません。
それぞれの疾患ごとに推奨される栄養バランスが異なるため、どちらか一方の療法食を選ぶだけでは十分な管理ができないこともありますね。
大切なのは治療や生活の質の向上にもっとも重要な病気に焦点を当てて、フードを選ぶことです。
例えば、腎臓病と糖尿病を併発している場合は腎機能の維持を最優先にリンやタンパク質を制限しつつ、糖コントロールも意識したフードを選択します。
厳密には併発した病気に完全に対応できるフードが存在しないことが多く、サプリメントなどを併用するケースもあります。

猫のフードの正しい切り替え方

飼い主の手からフードをもらう茶トラ猫

猫のフードを新しいものに切り替えるとき、急激に量を変えてしまうのは避けましょう。
切り替え期間は1〜2週間かけて少しずつ行うのが理想的です。
これまでのフードに徐々に新しいフードを混ぜていき、途中で消化器トラブルなどがないかを確認しながら切り替えます。
新しいフードへの食いつきが悪い場合は無理をせず、獣医師にご相談ください。

また、袋の密閉や冷暗所保管を心がけ、新鮮なものを提供するようにしましょう。

まとめ

この記事では猫のフード選びの重要性、特に病気を持つ猫への適切なフードの選択について解説しました。

猫のフード選びは、猫それぞれの健康状態によって大きく異なります。
フードに対する正しい知識を持つことで、猫の生活の質を高めることができますね。
猫が元気に長生きできるよう、日常の小さな変化にも気を配り、食事管理をしっかり行いましょう。
当院でもフードのご相談を承っておりますので、気軽にご相談ください。

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